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zoom RSS ヘルマン・ヘッセ −蝶と蛾ー

<<   作成日時 : 2011/02/13 10:59   >>

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画像 昨年末に草思社から左写真の単行本が出版された。
 ノーベル文学賞作家ヘルマン・ヘッセ(1887〜1962)は、ドイツに生まれ、故郷とその自然をこよなく愛し、神秘に満ちた自然に対する少年たちの恐れや憧憬と思春期の屈折した想いを優しく描写する作風で、また蝶や蛾の採集家としても知られている。1911年に発表されたこの作品は、1940年「少年の日の思い出」として、ドイツ文学者高橋健二氏(1902〜1998)の翻訳で新潮社から出版され、日本の国定教科書にも収録されている。物語は、蝶や蛾の収集家でもある「私」が、友人の述懐する蛾に纏わる少年時代の苦い思い出を美しく著した短編で、主人公エーミールは、昆虫好きで裕福な幼馴染が手に入れた憧れの「楓蚕蛾」を見せてもらい、それが欲しくなってポケットに入れてしまう。盗んだ後ろめたさから返そうとするが、すでに蛾は壊れてしまっていた。心の葛藤と呵責から、自分の収集していた標本全てを粉々に砕き、昆虫の収集を止めてしまう。 そうした少年の挫折と大人になる過程を哀しくも美しく描いたヘッセ短編の一つである。1957年に出版されたヘルマン・ヘッセ全集(新潮社)では、第二巻「車輪の下」に収められている。
 さて、今回出版されたヘッセ青春小説集「少年の日の思い出」は高橋健二氏の薫陶を受けたドイツ文学者岡田朝雄氏(1935〜)が新たに翻訳したもので、注目すべき点は、翻訳者自ら"訳者あとがき”の中で 「大学でドイツ文学を専攻した私は、郁文堂発行の原文を読んで、そこに現れる蝶や蛾のドイツ語名を知り、ドイツの蝶蛾図鑑を調べて・・・略・・・、Nachtpfauenaugeと呼ばれる蛾には大・中・小の三種類あること、などを突き止めた。この三種類の蛾は日本に生息しないので、和名がなく、独和辞典にも載っていなかった。そこで私はこれらの蛾にオオクジャクヤママユ、クジャクヤママユ、ヒメクジャクヤママユと和名をつけた。そして少年が盗んでしまう蛾はクジャクヤママユであろうと推定した」 と述べているように、岡田朝雄氏の翻訳では、例えば、エミール少年が盗んだ「楓蚕蛾」を「クジャクヤママユ」とするなど、すべて新しい和名に置き換えていることである。                本文はどちらも叙情感に溢れる比類なく美しい日本文に翻訳されていることは云うまでもないが、昆虫好き、所謂”虫屋さん”の気概が生んだ日本語版ヘルマン・ヘッセ昆虫譚とでも云えるかもしれない。尚、大阪はじめ各地の博物館で開かれた特別展「ヘルマン・ヘッセ昆虫展-少年の日の思い出-」は記憶に新しい所である。

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